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もりこさんの
在宅医療ことはじめ
〜在宅医療の制度と手続きの基礎〜

「在宅医療」をはじめてみませんか?※平成30年度改定内容に更新しました。

ごあいさつ

はじめまして。 私は東京都内の医療機関を中心に「在宅医療」のサポートをしています、株式会社DHM(でぃーむ)横森と申します。
「在宅医療」という言葉、この10年で大分浸透してきたように思います。
ただ、実際に在宅医療の現場に足を踏み入れ、活躍されている先生はどのくらい?というところから、少しでも多くの先生に在宅医療をはじめていただきたく筆をとり…いえ、パソコンに向かうことにしました。
2015年国勢調査の確定値では、75歳以上の人口は1612万人。初めて14歳以下の子どもの人数、1588万人を上回りました。
在宅医療は通院が難しい方の医療ですので、対象は子どもから高齢者まで特に年齢で区別されるものではありませんが、ADLが低下する高齢の方が増えれば、在宅医療のニーズが高まり続けるのも必然といえます。

日頃外来診療で地域医療を守られてきた先生

家族が仕事を休み、通院のサポートをしてなんとか通院しているような患者様はいませんか?
通院が難しいために家族からご本人の状況を聞くだけでお薬を処方している患者様はいませんか?
急に何百人もの患者様を在宅医療で診てくださいと書くつもりはありません。
まずは、1人。無理がなければもう1人。
在宅医療を提供できるように、そして、その患者様が人生の最期を自宅でと望んだ場合に主治医としてサポートできるように、在宅医療を始めるためのエッセンスをこのコラムを通じて数回に分けてご紹介していきたいと思います。

すでに在宅医療を実施している医療機関の先生

普段「在宅医療サポート」のために様々な医療機関へお伺いすると、書類や届出、制度のことなど意外と知らなかったといわれることがあります。本コラムを通じて今までの在宅医療の振り返りになれば幸いです。
よろしくお付き合いくださいませ。

そもそも在宅医療とは?

広義での在宅医療は、看護師等が訪問する「訪問看護」、リハビリテーション職種が訪問する「訪問リハビリテーション」などのコメディカルの関わる部分も含みますが、まずは医師の携わる在宅医療について考えてみましょう。
「医師が患家(患者様のお宅)へ診療に行く」これには2パターンあります。
1つは「往診」。急に体調が悪くなった患者様からの訴えにより必要に応じて臨時に診療に行くことを指します。
もう1つは「訪問診療」。通院が難しくなった方のところへ計画を立てて定期的に診療に行くことです。
今後、私がお伝えしていくのは主に後者の訪問診療のこととご理解いただければと思います。(もちろん、普段訪問診療を行なっている患者様が急に具合を悪くされて往診ということはよくありますので、訪問診療を始めると結果的に往診も行なうようになります。)

外来診療とのバランス

ここからは、こんな先生方を対象に話を進めていこうと思っています。
・クリニックを開業されている、またはクリニックにお勤めされている方
・主な患者様は外来で診ている
・在宅医療の患者様はたまの往診くらい
・「在宅医療は難しい!」と思っている

在宅医療を始めるにあたっては、今まで行なってきた外来診療とのバランスを考えていく必要があります。外来診療がお忙しい現状で「在宅も…」と始めるとパンクします。

在宅医療(訪問診療)を実際に始めた先生の悩み事で多いのが…

1、カルテに記載することが多くなる
2、書類が多い(書くのも読むのも)
3、患者様以外の人とも様々な連携が必要

つまり、1〜3に共通しますが、普段の外来診療よりも1人の患者様にかける時間が長いのです。(かける時間が長いことは、在宅医療を行う上で重要な要素の一つでもあります。この話は今後できたらと思います。) そこで、まずはクリニックの体制をどのようにするか、確定ではなくて構いませんのでイメージしてみましょう。

体制を考える上でのポイントは2つあります。
A 訪問診療をいつ行うか
B 24時間体制をどう考えるか

A 訪問診療をいつ行うか

訪問診療は、予め計画を立てて行くものですのでクリニック側も予定が組みやすいといえます。
そこで、「まずは昼休みに2人だけ」「月曜と木曜の午後は在宅にシフト」「1人が外来を診て、もう1人の医師が在宅を回る(在宅部門を別に作る)」というように、現在の状況を考えつつ訪問診療に行ける時間を確保できるように考えます。

B 24時間体制をどう考えるか

在宅医療を行なう上で、多くの先生が最も悩まれるのが24時間体制です。
「在宅医療は24時間体制が基本だから自分には無理」
「体力があって若い先生でないと在宅なんて難しい」
と、言われることがよくあります。

医師が行う「在宅医療」2つのスタイル(訪問診療、往診)の特徴を紹介する図。

個人的には24時間体制の医療機関が増えてほしいとは思います。
また、24時間体制を有する「在宅療養支援診療所」になると、同じ診療内容でも点数が高く設定されているため、経営面でもアドバイスは必ずします。
ただし、24時間体制をはじめから無理に考える必要はなく、在宅医療を始めた後に対応できそうと思ったときに届け出れば良く、まずは在宅医療そのものを試してみたいというときには在宅療養支援診療所にならなくても構いません。

「24時間やらない=在宅医療をやらない」では、ありません。

在宅療養支援診療所として24時間対応することは、あくまでも選択肢の1つです。
それ以外にも、
・24時間対応を連携先と協力して行う(在宅療養支援診療所の仕組みの一つとして「機能強化型」を連携で組む方法もありますが、強化型にするしないに関わらず連携を組むことは可能です)
・今まで外来で診ていた患者様のみを自院(または連携して)24時間対応にする(要件を満たせば、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の継続診療加算の算定が可能です)
という方法などがあります。

連携となると、順番で夜間対応が回って来ることもありますが、自院のみの24時間365日というプレッシャーが軽くなるかと思います。

「在宅医療」(訪問診療)実施の方法と一部「在宅医療」のポイントを紹介する図。

さて、自院で在宅医療を行うイメージはできましたか?

次回はイメージした在宅医療と合った「届出」や「準備する書類」についてお伝えしていきたいと思います。